【キーワード】キャリア発達

キャリア発達

キャリアは発達する。それは、プラスの成長もあれば、人間の身体に老いがやってきて衰えるのと同じように、衰退を示すものもある。

一般的に、個人が組織に参入した時点から始まるキャリアは、発達段階で分けて次のようなモデルで表される。

 

段階年齢発達過程
121歳ごろまで成長・空想・探索期
216~25歳まで仕事世界への参入
3基礎訓練期 → リアリティ・ショックの出現(組織参入前後のギャップ体験)
417~30歳ごろまでキャリア初期
525歳~キャリア中期
→ 組織への適応・不適応、ワーカホリックなどの過剰適応
635~45歳ごろまで キャリア中期の危機(現実と将来展望に対するストレス)
740歳~定年まで 非リーダーとしてのキャリア後期
8リーダーとしてのキャリア後期
9定年以降 引退 or セカンドライフ

これはあくまでも分析的なモデルだが、多くの人が生涯を通じて安定期と移行期を繰り返すことが示されており、主に個人が克服すべきキャリア発達上の課題と心理的・社会的危機への必要性について参考となる。

リアリティ・ショック

人が組織に入る前に持っていたイメージや情報と現実との間にギャップがあり、ショックや幻滅を感じること。程度や期間には個人差がある。

リアリティ・ショックをうまく乗り越えられるかどうかは、組織の人的リソース確保においても、個人のキャリア形成においても非常に重要なポイントとなる。

ちなみに、厚生労働省2016年9月時点の最新資料(厚生労働省職業安定業務統計)によると、若者の三年以内離職率は次のとおりである。

  • 中学卒:65.3%
  • 高校卒:40.0%
  • 大学卒:32.3%

上記の数字を高いと見るか低いと見るかは任意だが、いずれにせよ採用プロセスと組織参入後のメンバーの定着サポートについて、創意工夫が求められているのは間違いない。

ワーカホリック

組織に必要以上に適応してしまい、過剰に組織の業務に取り組むこと。仕事人間、会社人間などとも言われる。

場合によっては、過労死、燃え尽き症候群、プライベートの犠牲、パワーハラスメントにつながるリスクもあり、企業として対応を迫られる局面もある。

また、近年ではワークライフバランスの注目度が高まっており、ワーカホリックをけん制する動きも見られる。

キャリア中期の危機

若い頃持っていた夢や野心と、今の現実や将来の展望とを比べてみたとき、思った通りに進んでいない場合に、その差が大きいと認識すること。ストレスを引き起こすだけでなく、離転職などにつながる可能性がある。

危機を事前に回避するか、あるいは危機のさなかにいるメンバーについては、キャリア開発やカウンセリングといった組織による支援が必要となる。

 

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【キーワード】キャリア

キャリアとは何か

キャリアとは、人の仕事の経験や職業をまとめた経歴や職歴のことを指す場合が多い。また、ある人が仕事で得たスキルや能力、報酬や地位などを含めて話題にされる(キャリアアップ、キャリアチェンジなど)。

しかし、近年になってキャリアは単に仕事上のものだけではなく、個人の人生そのものを大きくとらえる概念に変化しつつあり、時代の変化によってキャリアに対する考え方も変わってきている。

ここでは、仕事と私生活を含めて個人が歩んできた過去と、今立っている現在、そしてそこからイメージする未来を大きくとらえたものとして考えたい。

 

キャリアについて考える意味

キャリアという言葉は、すべての人々にとって当たり前のものではない。

そんな言葉を一度も耳にせず仕事人生を終える人もいる。しかし、私たちすべてがキャリアという名の「道」を歩んでいるのは事実である(careerの語源は“車道“)。

普段、生活で自分が歩いている道について考えることはあまりない。道があり、その上を歩むことが当たり前と思っているからである。しかし、仕事人生やプライベートの計画はそれで済むのだろうか?

キャリアについて考えることは、自分が立っている道に気づき、過去とのつながりの中でどう将来を見ているか、自分の中で明らかにすることである。それはキャリアという言葉を知らなくても、考えることができる。

もちろん、キャリアについて考えたからといって何かが劇的に変化するわけではない。人によって、現状を肯定する材料であったり、変化への小さなきっかけであったり、将来に対する確認であったりするだろう。

キャリアについて考えることで不安や緊張によるストレスを感じるかもしれないし、本来こうありたかった自分のイメージを想い直し、前向きな感情を覚える創造的な機会になるかもしれない。いずれにせよ、キャリアを考えることは、“未来への準備”をすることと言える。

しかもそれは、社会や時代の変化、運や偶然性といった自分ではコントロールできないような物事を積極的に受け入れ、流されることなく自らの手足で現実をつかむ行為でもある。

 

時代によるとらえ方の変化

過去10~20年で、キャリアに対する組織と個人の役割は大きく変化した。

企業組織が社員のキャリア管理に対してほぼ全責任を負っていた時代から、いまや社員は自分自身の将来に対して責任を持たなければならず、企業はそれを支援する立場に変わった。

若者の意識をよそに、かつて日本企業の大勢を占め、美徳ともされていた終身雇用・年功序列は崩れ、上が下の面倒を見る温情的な雰囲気も失われつつある。

20世紀の間、企業は一つの企業で生涯通じて働く意思のある若者を採用し、優秀な社員には昇進の道が開かれ、責任と給与の増大、研修やさまざまな機会も提供する一方で、社員は忠誠心や勤勉さで報いていた。

しかし、こうした構図がもはや崩壊しており、今は不確実性が高まっている時代と言える。組織は将来を正確に予測することに限界を感じ、経営は業績を求める一方で、柔軟性を何より求めている。

このような状況ではかつての方法で社員に明確な道を示すことは難しく、したがって個人が自分のキャリア計画を立てなければならない。常に最新のスキル、能力、知識を身につけ、将来必要となる新しいタスクに向けて準備を進めることは、社員側に課されている。

career

 

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