【キーワード】キャリア

キャリアとは何か

キャリアとは、人の仕事の経験や職業をまとめた経歴や職歴のことを指す場合が多い。また、ある人が仕事で得たスキルや能力、報酬や地位などを含めて話題にされる(キャリアアップ、キャリアチェンジなど)。

しかし、近年になってキャリアは単に仕事上のものだけではなく、個人の人生そのものを大きくとらえる概念に変化しつつあり、時代の変化によってキャリアに対する考え方も変わってきている。

ここでは、仕事と私生活を含めて個人が歩んできた過去と、今立っている現在、そしてそこからイメージする未来を大きくとらえたものとして考えたい。

 

キャリアについて考える意味

キャリアという言葉は、すべての人々にとって当たり前のものではない。

そんな言葉を一度も耳にせず仕事人生を終える人もいる。しかし、私たちすべてがキャリアという名の「道」を歩んでいるのは事実である(careerの語源は“車道“)。

普段、生活で自分が歩いている道について考えることはあまりない。道があり、その上を歩むことが当たり前と思っているからである。しかし、仕事人生やプライベートの計画はそれで済むのだろうか?

キャリアについて考えることは、自分が立っている道に気づき、過去とのつながりの中でどう将来を見ているか、自分の中で明らかにすることである。それはキャリアという言葉を知らなくても、考えることができる。

もちろん、キャリアについて考えたからといって何かが劇的に変化するわけではない。人によって、現状を肯定する材料であったり、変化への小さなきっかけであったり、将来に対する確認であったりするだろう。

キャリアについて考えることで不安や緊張によるストレスを感じるかもしれないし、本来こうありたかった自分のイメージを想い直し、前向きな感情を覚える創造的な機会になるかもしれない。いずれにせよ、キャリアを考えることは、“未来への準備”をすることと言える。

しかもそれは、社会や時代の変化、運や偶然性といった自分ではコントロールできないような物事を積極的に受け入れ、流されることなく自らの手足で現実をつかむ行為でもある。

 

時代によるとらえ方の変化

過去10~20年で、キャリアに対する組織と個人の役割は大きく変化した。

企業組織が社員のキャリア管理に対してほぼ全責任を負っていた時代から、いまや社員は自分自身の将来に対して責任を持たなければならず、企業はそれを支援する立場に変わった。

若者の意識をよそに、かつて日本企業の大勢を占め、美徳ともされていた終身雇用・年功序列は崩れ、上が下の面倒を見る温情的な雰囲気も失われつつある。

20世紀の間、企業は一つの企業で生涯通じて働く意思のある若者を採用し、優秀な社員には昇進の道が開かれ、責任と給与の増大、研修やさまざまな機会も提供する一方で、社員は忠誠心や勤勉さで報いていた。

しかし、こうした構図がもはや崩壊しており、今は不確実性が高まっている時代と言える。組織は将来を正確に予測することに限界を感じ、経営は業績を求める一方で、柔軟性を何より求めている。

このような状況ではかつての方法で社員に明確な道を示すことは難しく、したがって個人が自分のキャリア計画を立てなければならない。常に最新のスキル、能力、知識を身につけ、将来必要となる新しいタスクに向けて準備を進めることは、社員側に課されている。

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