【キーワード】抵抗の克服

変化への抵抗を克服する

組織に変革をもたらそうとする場合、個人と組織レベルの両方で抵抗が起きる。

大切なことは、変化をもたらそうとするときには抵抗が予測され、それを前提として展開を考えるということである。抵抗のない変化などありえないと思ってよい。仮に抵抗がすぐに表れなかったとしても、数週間、1カ月、半年、あるいは数年といった期間で遅れて抵抗の結果が表れることもある。

抵抗が発生するのは、まず個人レベルである。「頑固である」「融通がきかない」といった個人の性格や毎日繰り返している習慣、身分・地位・待遇・就労そのものの安全、収入などの経済的な理由、自分が知らないことや理解できないこと、知りたくないことへの拒否反応などが要因として考えられる。

個人レベルで気をつけなければならないのは、良きにせよ悪しきにせよ集団に影響力を持っているキーパーソンである。特に、日ごろから声を大にして様々な意見を周囲に漏らし、集団の意向を形成できる力を持つメンバーについては、対策を事前に考えなければならない。

組織レベルでいえば、先例、文書化された規則や手順といった構造的に組織を動かしているものは、あたかも慣性の法則のように将来的に維持される力を持っているため要注意である。次に、小規模な改善ではなく組織全体で行われる変化を意図する場合は、変革の焦点を組織全体のシステムに当てなければ効果はない。

また、ある組織単位が持つ技術や専門性を脅威にさらすような決定は、その部門が塊となって抵抗を示す可能性がある。さらに、権限や予算配分などの既得権益が存在する場合は、有利な権力を持つ組織単位、あるいは、部門トップを中心として抵抗が生じる。

そのような変化への抵抗を克服するには、次の方法が有効とされる。

  1. 積極的にコミュニケーションを取る
    多くの抵抗は、変化に対する誤解や憶測によって生じる。したがって、理解不足を解消するために、面談や情報開示などを積極的に行ってコミュニケーションを十分にとることが有効と考えられる。ただし、説明する側と変化を受ける側に信頼関係が構築されていなければ、意味はない。
  2. 意思決定への参加を促す
    人が意思決定に参加した場合と、そうでない場合では、決定したことに向ける努力量が変わることがわかっている。しかも、自分が参加して決めたという事実があると、それに反する行動をとりにくい。変革を本格的に始める前に、より多くの人(特に、キーパーソンは外さない)に変化への意思決定の場に参加してもらい、一緒に決めていくことが意思決定の質を高めることにつながる。
  3. 支援を行う
    変革は組織に不安を与えることになるため、それを軽減するためにメンバーの声に耳を傾けたり、変化後の体制で必要な知識や技術のトレーニングを行うなど、組織的な支援が必要となる。
  4. 変革を受け入れることに対して報酬を示す
    魅力的な報酬は人の行動につながる。したがって昇給や昇進、表彰、称賛、感謝のことばなどを意識的に考えておかなければならない。
  5. 変化に対応できる柔軟な組織づくりを行う
    組織そのものが性格的に頑固、意思決定のスピードが遅い、メンバーが考えることを止めている、情報共有がなされていないなど、変化への抵抗基盤が組織に強固に内在しているパターンがある。「変化は必ず起きる」という前提のもとに、継続的かつ柔軟に変化に対応できる体制づくりや意識づけを行う必要がある。具体的には、先例を捨てる習慣を身に付ける、お互いに思っていることや考えていることをオープンにできる安全な環境や雰囲気をつくる、メンバー全員が組織のビジョンを持てるように促す、計画やビジョン達成のために協力する文化をめざす、などである。

 

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【キーワード】変革エージェント

変革エージェント(へんかくえーじぇんと)

チェンジエージェント(Change Agent)とも呼ぶ。

時代の変化とともに、組織は変化を迫られる。

インターネットを利用したテクノロジーの発展、リーマンショック等の国際経済による景気の影響、台湾や中国、インドをはじめとするアジアの国々の台頭と競争、業界の再編、団塊の世代退職による影響と新しい市場形成、外交問題によるビジネスへの影響、労働を担う世代の文化的または価値観の多様化、分業による専門家の増加とキャリアの複雑化、非正規雇用の増大と労働力の不足・・・

組織は、国内だけでなく海外情勢の見地からも変化への圧力を受けている。そのような中で、変えるべきものを変え、変わらないものをより強固にして、組織はサバイバルをしなければならない。

変えるべきものを変えるときに、誰がそれを担うのか。組織変革のマネジメントに責任を持って遂行に当たる者こそが、変革エージェント(変革請負人)である。

変革エージェントは、トップや管理職など組織のメンバーが担う場合もあれば、外部のコンサルタントが担う場合もある。

過去の経緯を踏まえて、より明確な価値観とビジョンを打ち出せるのは、やはり組織内でキャリアを積んできたメンバーが適当である。

このとき、内部のリソース不足から外部の力を借りることもある。外部の客観的な意見が役に立つ場合もあるのが理由である。

 

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【キーワード】組織間開発

組織間開発(そしきかんかいはつ)

Interorganizational Developmentの訳語。

組織間開発は、異なる組織・グループ間の関係を、協調的で、相互に恩恵があり、ノイズの入らないシステマチックなものへと改善する手法である。

企業等の内部にある縦割り型の部や課、グループといった組織単位は、ともすれば恣意的に、かつ、勝手に振る舞いはじめるものである。

さらに、業務上の利権または利害関係によって企業内部の組織間で非生産的な対立が起き、組織全体として業務を進めるうえで弊害が生じる。

組織間開発は、そのような異なる組織間の関係改善を行い、縦割り型組織の弊害を取り除くことを目指す変革である。

そもそも、ある組織は、他の組織に対して具体的で、主観的な認知を行う。

たとえば、営業部から見ると管理側の総務・経理といったまとまりに対しては「融通が利かず、現場のことをわかっていない。いつもがんばっているのは自分たちで、給料がもらえるのは自分たちのおかげだ」といった見方を行う。

また、管理側からすると営業部は「顧客の言われたとおりにしかできない(交渉力がない)人たちで、自分たちは柔軟に対応している」と思っている、などのパターンが当てはまる。

そのような相手への認識と自分自身に対する認識のズレによって、業務に支障が出て来ることで、組織間の対立が起きてしまい、場合によっては非生産的な関係に陥り、組織全体に悪影響を及ぼしかねない状況がしばしば見られる。

組織間開発は、他の組織に対する態度や物の見方に対する変革を促し、部門間の協調関係を改善する。

組織間の関係改善策にはさまざまな手法があり、相互の認識について明らかにし、議論を行って、解決策を見つけていく方法などが用いられる。

 

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