【セミナーレポート】2017年8月「組織変革」

※下記の文章は、弊社主催「組織勉強会」の参加メンバーによる自主的なレポートです。文言等は修正せず、そのまま記載しております。

組織勉強会レポート

■日 時:平成29年8月30日(水)19時15分~21時15分@福岡市内会議室
■テーマ:「組織変革」
参加者:異業種から6名

第1節:「人を動かすにはどうしたらよいか?」

まずは上記キーワードに対して、メンバー皆で思い浮かぶことを口々に列挙していく。

手法という観点ではなく、要素という意味合い。

「人が動くときはどういう時なのか?」という点も加味して考えた方が、理解しやすいかもしれない。ちなみに個人的なベストワードは、『愛』だ。

なんだろう、とても素敵な言葉である。だが、残念ながら、組織で愛を持ちだしたら特定宗教法人のお話になるのでこちらは神棚に飾っておこう。合掌。

以下に、興味深いキーワードをいくつか列挙する。

『モチベーション』

仕事におけるパフォーマンスを左右する不滅のスタメンワード。要はモチベーションを高い状態にしておけば、人は動き人財になるというお話。逆も然りで、モチベーションが低いとあらゆるパフォーマンスが低下して人罪に堕ちる。故に相手の状況を認識して、上手く高いモチベーションを保持している状態に誘導出来るのが理想である(が、ここが一番難しい)。

『きれいごと』

一般的には蔑んだ意味合いで使われる言葉であるが、組織の『きれいごと』は、それとは意味合いが違うように思える。個人のきれいごとは、その結果は個人に帰すだけであるが、組織のきれいごとは信用に関わる問題である。その影響力の大きさや、実現性、有益性など、言葉と実状が乖離している点が多々あり面白い点ではないだろうか?

ちなみに私見ではあるが、私は「きれいごと=建前」という認識を抱いており、建前をないがしろにする人間は信用に値しないと考えている。建前があるから我々は自分の権利を声高に主張し、為政者の不実を弾劾できるのだ。

そのほか、類似したもので大義名分もあげられた。間違っていないとお墨付きを貰えれば人間はなんとも大胆なことも出来るものである。正しいという思い込みでない限りはこちらも大変有用であると考える。

『強迫観念』

言葉は黒いが、要は心理的な要素ということである。

例えば「責任感」。組織において責任ある配置につければ、つけられた当人は責任を全うするために否応なく動かざるをえなくなる。責任を果たさなければ評価は下がり、無能の誹りを免れないという強迫観念が生まれるからだ。

もしくは、「返報性」。人からなにかしてもらったら、自分もなにか返さなくてはいけないという心理だ。どこぞの王侯貴族様で、尽くされるのが当たり前であるという身分でないなら、大小の差はあれ、誰しもが何かしらで体感しているものだろう。もう少し分かりやすく噛み砕くと、「借りは返さなければいけない」という強迫観念が人を動かすということだ。

『欲求』

承認欲求であれ、貢献欲求であれ、求めているものを鼻先に餌をぶら下げれば、対象を動かすことが出来るというお話。どのような形であれ、人間というものは欲求には抗えないように出来ているからである(抵抗は出来る。ただそれすらも欲求ではないかという罠)。

相手の求めるところを知り、しかるべき餌さえ用意できれば、人を導くことは決して難しいことではない。

『影響力』

単純に権限という観点でもよいし、相手との関係性を築けているという点でもよいかと考えられる。自分の影響力をきっちりと認識して、誤らずに使うことが出来れば人を動かすには最適であると考えられる。

私見だが、世にいう出世している人間というのはここをきっちりと抑えられている人間であると考えられる(逆を言えば、自らの影響力を把握していないと、手痛い目にあうのではないかと考えられる)。

 

第2節:「マージナルマン(Marginal Man)の重要性について」

上記の内容「人を動かすにはどうしたらよいか?」というお題について話す中で、さらに興味深い話が出てきた。

マージナルマンについてである。

一般的な意味は、検索すると以下の通りである。

『マージナルマン・・・互いに異質な二つの社会・文化集団の境界に位置し、その両方の影響を受けながら、いずれにも完全に帰属できない人間のこと。社会的には被差別者、思想においては創造的人間となりうる。境界人』

が、組織におけるマージナルマンとは少し、意味合いが違う使い方をする。

組織におけるマージナルマンとは価値観層や段階的組織構造(ヒエラルキー)において、断絶されている層同士をつなぐ役割を持ったキーマン(触媒者)といった意味合いであるという。

では、具体的にこの「つなぐ」ということはどういうことか?

①価値観層とは世代ごとに持つ価値観の層である。
(例)10代の価値観、20代の価値観、30代の価値観~
この層は横型断層になっており基本的に交わらないと考える。

 

②その価値観層が営利組織等に適用されると、縦の階層が出来上がることとなる。
(例)上層部(社長、部長)中間管理職(課長、係長)主任、平社員~

③結果、以下のような図が会社組織における価値観として出来上がると考えられる。

 

上記のような図式で行くと問題となるのが、断層を隔てることによるお互いの認識のずれ、この場合は互いの階層を理解していない無理解の状態が生まれるということである。

組織を動かす(変革的な意味合いも含め)上で、重要になるのは「お互いの理解」である。

ここでは価値観層という形で表しているが、その価値観層が末端(現場)と上層部(経営層)で見えていない状況は、人を動かす上で致命的な齟齬を生み出す要因であると考えるのだ。

(図Cの影響力は理解を促すものではない点に注意。影響力は組織内の強制力(命令権)の強弱を表したものであり、基本的には上から下への(無理解状態での)一方通行である。極端な一例を上げると、『20代一般社員は、60代上層部の一方的な価値観による経営方針により、よく分からない仕事をただただ実行しているだけ』という構図が発生する)

そこで、重要な役割を果たす存在こそが、「マージナルマン」であるというのだ。

このマージナルマンとは具体的にいうと、階層の中層、中間管理職に位置する30代後半から40代前半あたりの人々のこと指すのだという。

会社組織は砂の城であると考えるとわかりやすいかもしれない。砂の城が崩れないようにするために必要なことは何か?

それは、適度な水(=情報)を与えてその強度を保持することだ。

この役割の難しいところは、水(=情報)を与え過ぎてもいけないし、与えなさ過ぎてもいけないという点だろう。多くても、少なくても城が崩れてしまうからだ。

舞台の主役は「マージナルマン」。

そう、マージナルマンが馬車馬のごとく、上と下を行き来し、主体となって会社組織に絶えず適量の水(=情報)を流し続けているという話なのだ。

彼らの重要性は上記述べた通り、層と層、つまり、上層と下層をつなぐという点であり、組織における階層間の無理解状態を解消し、相互理解を促し、組織の潤滑油的存在を担う点であるという。

つまり、彼らの働き如何で組織全体が上下する、いや、瓦解するといっても過言ではないだろう。組織においてその影響力は無視しえないものであるということなのだ。

実に興味深い話であった。

第3節:「我が身を振り返る」

組織変革という言葉に、現在、私が所属する会社は非常に敏感になっている。理由はただ一つ、私の会社も組織変革を断行中であるからである。

具体的に述べると、弊社は事業計画の失敗から大きく業績を落とし、現在は事業再建を急務としなければいけない状況に陥っている。

そこで会社が掲げた手段は
・全国展開している同系会社との経営統合
・新人事制度導入
・早期退職制度の提示
以上の3つである。

上層部が遂に決断に踏み切ったのである。

劇薬である。患部を治癒する代わりに、他に激烈な代償を要求する劇薬であると断言してよいだろう。

その証拠に激烈な抵抗が社内では発生している。

以下に抵抗勢力の派閥を記載しよう。

  • 早期退職制度の対象であり、いわいる『リストラ』の対象とされた一派
  • 早期退職制度の対象外であるが、人事制度の適用により、職位と給与が脅かされている一派
  • 組織改革による内部の不安定化により、会社への信頼を失い、会社自体からの離反を模索している一派

変革における抵抗は上層部も想定済みであることから、無論、無策というわけではない。①に対しては退職金の明確な水増し、②に対してはいくばくかの内々での約束など、小賢しいといっては失礼にあたるだろうが、少々の手練手管は使っている様子である。

だが、あえて言わせていただこう。

「小賢しい」と。

上層部は抵抗勢力への危機意識が薄すぎた。抵抗勢力を甘く見積もり、小手先の皮算用が過ぎ、リスクマネジメントが疎かだったのである。

まず、①への対策が不十分過ぎる。①の対象者に関してはすでに語る言葉はない。大なり小なり恨みを買うことは確実なのだから。

問題は①の対象者を出したことにより、その他へ不信の種が蒔かれたことである。対象者以外の胸にあるのは「明日は我が身」である。水がなければ育たない?今の状況がなにもしなくても立派に育ててくれる。①の対象者も率先して周囲の機運を育ててくれることであろう。

次に②への対策。これも失敗している。諸々の情報開示が一切行われていないのである。個々に対していくばくかの言葉は語っているようだが、所詮は公式に出された言葉ではない以上、「後でそんなことは言っていない」といえばそれまでの話である。①で育まれた不振の芽が芽吹き、花を咲かせるのを促進しているようにしか見えない。

この状況下で「君だけは特別だ」なんて言葉を信じられる人間は、底抜けにお人好しか、頭の中が一面お花畑のお目出度い輩であるだろう。

最後に、上記二つを目の当たりにする③の胸中はいかがなものだろうか?

答えるのもばかばかしい限りである。会社組織を腐らせ、殺す。そう、死に至る病の『不信』が最後に生まれ落ちるのだ。

今回、上層部が怠ったのはなにか?

あらゆるコミュニケーションである。言葉であれ、意志であれ、惜しむべきものでないものを惜しんだのだ。

抵抗を克服するための手段がいくら存在しようと、基盤となる大前提を無理解にないがしろにしたのである。

私は、「話せば理解し合える」などと青臭いことをいうつもりはない。

理解し合えない人間は明確に存在するし、有限な人生の中でそんな相手と理解し合うために貴重な人生の時間を費やすことが、どれほど愚かしいことか重々理解している。

だからこそ、上層部を糾弾したい。

「人を動かすのはなにか?」ということを何故、理解し得ず、手段を誤ったのかと。

変革は人を動かすことである。人が動かねば変革など成しえないのだ。

恐らく、近い将来、弊社はその『ツケ』を払わされることになるだろう。

残るも地獄、出るも地獄、頭の痛い日々である・・・。

 

第4節:【振り返り】

今回の議題は大いに身につまされるものであった。

そして、私は自分の会社において、何が問題であったのかを考えた。

第3節で上層部の軽率な変革を少々(?)なじりはしたが、私は基本的に上層部の判断が誤っていたとは考えていない。

「おい、コラ」なんて突っ込みがありそうだが、私は変革のプロセスのずさんさに腹立が立っただけなのである。

何故なら、業績の悪化は隠されてはいなかったからである。会社は社内において、業績を明確に掲示していた。つまり、会社の財務状況を我々社員は容易に知ることが出来たということである。そう、変革が必要であることは、冷静な目で会社を見ることが出来ていれば、避けられない事態であったのは明白であったのだ。

ならば、『現在の状況の責任は誰にあるのか?』という問いがあるとすれば、『鏡の前に立って目を開ければ分かる』としか言いようがないのが事実である。辛辣なこと言わせてもらえば、会社全体が自体を軽んじ、何の根拠もない会社の安寧を幻想していたのだ。

それでは、我々に足りなかったのはなにか?

現実を現実として直視すること。

そして、今回の話の中でいうならば文句無しに「マージナルマン」の存在であるだろう。第2節で語ったマージナルマンという存在は、決して容易に存在するものではない。マージナルマンという存在は『稀有』なのである。理由は簡単、マージナルマンとなる人材は忙しいからだ。

マージナルマンの役割、もしくは、必須条件とは経営層と現場、両者の意思と理解を明確に把握し、なおかつ、両者に互いの意思と理解を過たず伝達させられる能力である。

そんな人材が会社にゴロゴロいるだろうか?いるとしたら第一線で働いている有能で多忙な人材であるが、そんな人材がそう暇なわけがない。

ただでさえ忙しい中、そんな役割をこなしているなんていう人間は少数なのである。だが、忙しいからといって、その役割を担う「マージナルマン」を欠くとどうなるか。

それが、おそらく今回、弊社で起きていることのおおよその原因だ。

上と下をつなぐものがおらず、お互いへの無配慮と無理解が変革を阻害し、会社の未来に影を差す。

会社は意図して「マージナルマン」を生み出さなければならなかったのである。ゆえに私は、「マージナルマンになること」を今後の目標としようと思う。

同じ失敗を今後繰り返さないために。

 

今回のレポートを終え、頭に思い浮かんだ言葉があったのでここに記載しておこうと思う。

山本五十六氏の有名な言葉である。

『やってみせ、言って聞かせて、させてみせ、ほめてやらねば、人は動かじ』

『話し合い、耳を傾け、承認し、任せてやらねば、人は育たず』

『やっている、姿を感謝で見守って、信頼せねば、人は実らず』

以上(N)

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【キーワード】抵抗の克服

変化への抵抗を克服する

組織に変革をもたらそうとする場合、個人と組織レベルの両方で抵抗が起きる。

大切なことは、変化をもたらそうとするときには抵抗が予測され、それを前提として展開を考えるということである。抵抗のない変化などありえないと思ってよい。仮に抵抗がすぐに表れなかったとしても、数週間、1カ月、半年、あるいは数年といった期間で遅れて抵抗の結果が表れることもある。

抵抗が発生するのは、まず個人レベルである。「頑固である」「融通がきかない」といった個人の性格や毎日繰り返している習慣、身分・地位・待遇・就労そのものの安全、収入などの経済的な理由、自分が知らないことや理解できないこと、知りたくないことへの拒否反応などが要因として考えられる。

個人レベルで気をつけなければならないのは、良きにせよ悪しきにせよ集団に影響力を持っているキーパーソンである。特に、日ごろから声を大にして様々な意見を周囲に漏らし、集団の意向を形成できる力を持つメンバーについては、対策を事前に考えなければならない。

組織レベルでいえば、先例、文書化された規則や手順といった構造的に組織を動かしているものは、あたかも慣性の法則のように将来的に維持される力を持っているため要注意である。次に、小規模な改善ではなく組織全体で行われる変化を意図する場合は、変革の焦点を組織全体のシステムに当てなければ効果はない。

また、ある組織単位が持つ技術や専門性を脅威にさらすような決定は、その部門が塊となって抵抗を示す可能性がある。さらに、権限や予算配分などの既得権益が存在する場合は、有利な権力を持つ組織単位、あるいは、部門トップを中心として抵抗が生じる。

そのような変化への抵抗を克服するには、次の方法が有効とされる。

  1. 積極的にコミュニケーションを取る
    多くの抵抗は、変化に対する誤解や憶測によって生じる。したがって、理解不足を解消するために、面談や情報開示などを積極的に行ってコミュニケーションを十分にとることが有効と考えられる。ただし、説明する側と変化を受ける側に信頼関係が構築されていなければ、意味はない。
  2. 意思決定への参加を促す
    人が意思決定に参加した場合と、そうでない場合では、決定したことに向ける努力量が変わることがわかっている。しかも、自分が参加して決めたという事実があると、それに反する行動をとりにくい。変革を本格的に始める前に、より多くの人(特に、キーパーソンは外さない)に変化への意思決定の場に参加してもらい、一緒に決めていくことが意思決定の質を高めることにつながる。
  3. 支援を行う
    変革は組織に不安を与えることになるため、それを軽減するためにメンバーの声に耳を傾けたり、変化後の体制で必要な知識や技術のトレーニングを行うなど、組織的な支援が必要となる。
  4. 変革を受け入れることに対して報酬を示す
    魅力的な報酬は人の行動につながる。したがって昇給や昇進、表彰、称賛、感謝のことばなどを意識的に考えておかなければならない。
  5. 変化に対応できる柔軟な組織づくりを行う
    組織そのものが性格的に頑固、意思決定のスピードが遅い、メンバーが考えることを止めている、情報共有がなされていないなど、変化への抵抗基盤が組織に強固に内在しているパターンがある。「変化は必ず起きる」という前提のもとに、継続的かつ柔軟に変化に対応できる体制づくりや意識づけを行う必要がある。具体的には、先例を捨てる習慣を身に付ける、お互いに思っていることや考えていることをオープンにできる安全な環境や雰囲気をつくる、メンバー全員が組織のビジョンを持てるように促す、計画やビジョン達成のために協力する文化をめざす、などである。

 

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【キーワード】変革エージェント

変革エージェント(へんかくえーじぇんと)

チェンジエージェント(Change Agent)とも呼ぶ。

時代の変化とともに、組織は変化を迫られる。

インターネットを利用したテクノロジーの発展、リーマンショック等の国際経済による景気の影響、台湾や中国、インドをはじめとするアジアの国々の台頭と競争、業界の再編、団塊の世代退職による影響と新しい市場形成、外交問題によるビジネスへの影響、労働を担う世代の文化的または価値観の多様化、分業による専門家の増加とキャリアの複雑化、非正規雇用の増大と労働力の不足・・・

組織は、国内だけでなく海外情勢の見地からも変化への圧力を受けている。そのような中で、変えるべきものを変え、変わらないものをより強固にして、組織はサバイバルをしなければならない。

変えるべきものを変えるときに、誰がそれを担うのか。組織変革のマネジメントに責任を持って遂行に当たる者こそが、変革エージェント(変革請負人)である。

変革エージェントは、トップや管理職など組織のメンバーが担う場合もあれば、外部のコンサルタントが担う場合もある。

過去の経緯を踏まえて、より明確な価値観とビジョンを打ち出せるのは、やはり組織内でキャリアを積んできたメンバーが適当である。

このとき、内部のリソース不足から外部の力を借りることもある。外部の客観的な意見が役に立つ場合もあるのが理由である。

 

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【キーワード】組織間開発

組織間開発(そしきかんかいはつ)

Interorganizational Developmentの訳語。

組織間開発は、異なる組織・グループ間の関係を、協調的で、相互に恩恵があり、ノイズの入らないシステマチックなものへと改善する手法である。

企業等の内部にある縦割り型の部や課、グループといった組織単位は、ともすれば恣意的に、かつ、勝手に振る舞いはじめるものである。

さらに、業務上の利権または利害関係によって企業内部の組織間で非生産的な対立が起き、組織全体として業務を進めるうえで弊害が生じる。

組織間開発は、そのような異なる組織間の関係改善を行い、縦割り型組織の弊害を取り除くことを目指す変革である。

そもそも、ある組織は、他の組織に対して具体的で、主観的な認知を行う。

たとえば、営業部から見ると管理側の総務・経理といったまとまりに対しては「融通が利かず、現場のことをわかっていない。いつもがんばっているのは自分たちで、給料がもらえるのは自分たちのおかげだ」といった見方を行う。

また、管理側からすると営業部は「顧客の言われたとおりにしかできない(交渉力がない)人たちで、自分たちは柔軟に対応している」と思っている、などのパターンが当てはまる。

そのような相手への認識と自分自身に対する認識のズレによって、業務に支障が出て来ることで、組織間の対立が起きてしまい、場合によっては非生産的な関係に陥り、組織全体に悪影響を及ぼしかねない状況がしばしば見られる。

組織間開発は、他の組織に対する態度や物の見方に対する変革を促し、部門間の協調関係を改善する。

組織間の関係改善策にはさまざまな手法があり、相互の認識について明らかにし、議論を行って、解決策を見つけていく方法などが用いられる。

 

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【キーワード】組織開発

組織開発(そしきかいはつ)

Organization Developmentの訳語で、ODと略されて使用されることがある。

組織開発は、ダイナミックな環境変化の中で組織が変化を求められ、計画的に変革を実行する組織変革の手法である。

トップや経営陣による一方的な組織変革とは異なり、人間的かつ民主的な考え方を重要視し、個人と組織の成長、組織メンバーによる協力と参加、探求的プロセスなど組織のソフトな面に価値を置いている。

組織開発は、組織の有効性を高め、かつ、組織に所属するメンバーの職場環境や仕事のあり方といった福祉的な側面を改善することを目指す。

組織文化や戦略、メンバーの持つ価値観や態度、信念、モチベーションといった様々なレベルの要素についての現実を共有し、変革を進行させていく。

あくまでも変化の先にある組織のあり方や望ましい成果は明確にされるべきで、具体的な手法についてはシステマチックに行われる必要がある。

組織開発が重視する価値観は次に掲げるものである。

  • 組織メンバーに対する敬意
  • 信頼、オープン、協力、支援
  • フラットさ(地位や権威を重視しない)
  • 問題を直視し、挑む(場合によっては聖域にまで踏み込む)
  • より多くの人の参加

 

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