【キーワード】チームの業績評価

チームの評価をどのようにするか

業績評価の対象は、主に個人が対象として考えられる傾向にある。

しかし、近年の流れとして業務をチーム単位で行い、チームがまとまりとして成果を出すような組織のつくり方を行う企業も現れている。チームの業務プロセスを促進するため「チーム・ビルディング」が注目を集めるなど、これまでの個人のみを対象とした考え方ではなく、業務を中心にしたチームに焦点を当てた考え方も求められている。

そのような中、チームの業績評価を行うために、次の4つのポイントが重要とされている。

1. チームの成果と組織の目的をつなげる

「医療サービスの改善と質の向上を支援し、社会貢献を行う」など、組織には必ず目的がある。

この大前提に対して、チームが挙げる成果が何であるかを明らかにして、目標を定めて、さらにそれを測定する方法を考える。

2. 顧客ニーズを満足するための業務プロセスについて考える

顧客に提供する製品やサービスには、必ず顧客が求めている要件や水準があるため、対顧客のチームについてはその要件や水準にもとづいて判断する。

社内間の取引がある場合は、納品までの時間やミスや不備がないことなど、社内サービスの品質において評価ができる。

また、以上を行うための業務プロセスやフローを分析したうえで、作業効率や成果を出すまでのサイクルタイムなど、重要となるポイントについて数値目標を設定して評価を行える。

3. 個人とチームの両方で評価する

業務プロセスにおいて、メンバーがチーム内で与えられている役割と責任に応じて評価項目を定め、チームの業績に対する個人の貢献度と、チーム全体が残した業績で評価を考える。

野球で言えば、1番バッターは出塁率や盗塁数で評価されるのに対して、4番バッターは得点圏打率やホームラン数によって評価され、最終的にはチームの勝敗についてそのプレーヤーがどの程度貢献したか、両方の観点で評価がなされることに例えられる。

4. チーム独自の評価をつくる

チームの性質に応じて、独自の評価基準を定めることもひとつの選択肢にできる。

チームの目標とメンバー各自の目標が定められると、役割の理解が進み、それぞれどのような強みを発揮して成果を出していくか、チームワークが発揮されることになる。

それにより、メンバーの業務へのモチベーションや連携の意欲が高まると考えられる。

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【キーワード】業績評価面談

評価面談が気まずい場合

評価面談は、評価者がメンバーに対して業績評価の結果を伝える、ひとつのコミュニケーションの機会である(考課面談とも呼ばれる)。

評価される者の内容がプラスで、さらに昇進や給与・賞与に反映されるパターンは、評価者にとっても非常にやりやすい。

しかし、評価がマイナスの場合や苦手とする相手に対する面談は、上司にとって気まずいものでしかない。

そもそも、その評価をしたのは自分である場合が多かったり、努力はしたものの全体の調整やオーナーの一存でマイナスに転じるケースもあったり、結局嫌われる役になってしまい、説明も難しい。

評価者にとっては複数のうちのひとつの評価であっても、あるメンバーの評価はその人にとってただひとつの評価であるから、余計に複雑である。

 

自己防衛

評価者自身が、保身や部下との対立を恐れるあまり、一歩踏み込まずになんとなく面談をしてしまったり、重要なポイントを伝えずに済ませてしまうと、評価をされた側の不信感がさらに募ってしまい、今後の人間関係にもマイナスの影響を与えかねない。

また、もし相手のマイナスのポイントや改善点を伝えられたとしても、「自分はそんなことない、一生懸命やっている」「○○さんはどうなんですか、自分だけが言われるのは納得できない」などと自己防衛に陥る可能性が高い。

元々給与が低かったり、休日条件などの待遇が悪かったりすると、「だいたいこの会社は…」など、メンバーが自分を改善するどころか非難の矛先を上司や組織に向ける結果になってしまうこともある。

 

自己評価>周りの評価

あるメンバーの評価が、組織全体の位置づけからすると平均よりやや下であったとしても、そのメンバーは「私は下から数えるよりも上位から数えた方が速いところにいる」と考える可能性が高い。

また、厄介なことにプラスの評価であっても「それでは足りない」と考える人もいる。

 

対策を考えるための3つの前提条件

以上のことに対応するためには、前提として3つの条件を整えておく必要がある。

1.評価制度が公平である

評価される側が、評価制度そのものに不信感を抱いている場合は、いくら言葉を尽くしても納得は得られがたい。評価する側とされる側の間だけでなく、プラス評価をされたメンバーとマイナス評価をされたメンバーの関係も悪くなる可能性があるだろう。

評価の仕組みと方法が透明であり説明が十分になされていることや、適正に手続きがされていると感じられることが大きな前提となる。

2.面談者が誠実である

面談者が不誠実で、好き嫌いや保身で面談の質を下げたり、一方的な非難や愚痴の場になれば、面談を受ける側はさらにストレスとなる。これでは、制度のバランスを損なう結果しかない

面談者に対しては、メンバーにが面談を生産的で有意義な場であると感じてもらうように研修や訓練を行うことで、一定の質が保たれることにつながる。

研修では、面談を単なる一方的な評価の場とするのではなくて、評価結果をきっかけとして次をどのようにするか、支援的な立場で接するにはどのようにするかといった内容が望ましい。

3.評価面談以外のコミュニケーションの機会がある

顔も合わせたことがない上司や自分の仕事を知らない相手から評価を受ければ、メンバーは評価に不満を持つ。

また、忙しいため「どうせ面談があるから」と日々のコミュニケーションをおろそかにしていれば、面談をうまく軌道に乗せるのに時間がかかったり、肝心なことが伝えられずに終わる場合もある。

普段から上司が部下の仕事を支援するつもりで、どういった行動が望ましいか、どのような仕事の進め方を心がければよいかなどを普段から心がけていれば、メンバーとしても評価への納得の程度は高まりやすい。

 

評価制度をなくす

業界の状況や会社の個別的な事情、制度の欠陥により、評価制度が機能していない場合もある。評価の目的が昇給や昇進につながるとしながらも、実際には見込みがまったくないパターンがそれに当たる。

また、実際の昇給は年次や序列で決まっていて大きな変化がなく、昇進も評価制度には関係のない項目で決められる場合(昇進試験の結果など)、何のための評価なのかを見直す必要があるだろう。

評価をする側も、される側も「意味がない」と思って無為に時間を過ごすよりは、ほかの生産的なことに時間を使うか、評価制度を組織の活性化の機会としてとらえ直してまったく異なる制度を構築した方が組織にとって有益だろう。

組織の規模にもよるだろうが、評価制度そのものをなくしてしまい、日々のコミュニケーションを充実させることにつなげたり、昇給や昇進のあり方をもっとシンプルな方式にする機会をつくることが、良い方向に進むきっかけとなるかもしれない。

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【キーワード】評価者訓練

良い評価スキルを身につける

評価制度の重要なポイントは、評価者に公正で正確に評価をしてもらうことである。

評価プロセスやシステムがいかに素晴らしくても、評価にムラがあったり、バランスを欠いていたりと、最後は人の問題に行き着いてしまえば身もふたもない結果となる。

評価者が良い評価スキルを身につけ、優れた評価者になることで組織に公正感や納得感がもたらされるだろう。

 

偏見と誤りに注意する

評価スキルといってもツールやフレームワークを利用するわけではなく、人間が持つ偏見(バイアス)を捨て、誤り(エラー)を防ぐことに重点を置く。

評価者訓練では、次に挙げる偏見や誤りについて認識する機会を持ったり、行動の評価を重視する場合には「行動」と、「人格」や「好き嫌い」とは別に考えて評価を判断する訓練を行うこととなる。

ハロー効果

あるメンバーを評価しようとするときに、そのメンバーの目立つ点に引きずられてその他の項目に対する評価も影響を受ける、きわめて人間的な偏見のひとつである。

「ハロー(halo)」とはよく仏像や宗教画に描かれる人物の背後に射す後光や光輪を意味する。後光に目が行ってしまい、本人の姿をよく見れずに何もかもが良く見える効果が生じる。

仮に、メンバーのひとりにエリート大学出身者がいる場合、実際の仕事ぶりや勤務態度、人格面などそれぞれに独立しているはずの項目が、「勉強ができるから」という理由で全体の評価が高い方へ偏ったり、あるいは、たまたまのミスが目についたために「○大のくせに」とその逆へと傾いてしまうケースが当てはまる。

評価する人数が多かったり、時間がなかったり、接触や観察の機会がなかったりするとハロー効果は起こりやすい。

自分の偏見について認識し、評価基準にしたがって客観的に評価を行うことが求められる。

寛大誤差(寛大化傾向)

直属の上司が部下メンバーを評価をする場合、全体として評価が甘くなってしまう経口を示すことを指す。

寛大誤差が生じると、我が子かわいさのあまり、あるいは、我が身かわいさのあまり、5段階評価でつい4を多くしたり、ひとつくらいは5を、など基準をないがしろにしたり、部門全体のバランスを考えずに評価を偏らせてしまうことがある。

また、全体としてかなり厳しめに評価をして全体として2を多くしたり、「最近の若い奴はなっとらん」などと1を増やしたりする厳格化傾向も逆のものとして挙げられる。

最終的に組織や部門全体でバランスがとられる仕組みになっていればよいが、制度設計が失敗しているとバラつきがあるままで進んでしまう。

あくまでも基準に従い、何を評価すべきか明確にしたうえで評価することが重要となる。

入手容易性バイアス

身近にある情報や最近の出来事から物事を判断してしまう偏見。

評価期間が長くなるほど過去のことは忘れられて、最近の出来事で評価されてしまう場合や、物理的に離れているメンバーの評価よりも接触する機会が多いメンバーの評価の方が高くなる傾向が当てはまる。

 

継続的な注意が必要

上記の偏見や誤りは、その存在を知ればその場で修正することができる。

しかし、時間の経過とともにやはり人間が本来的に持つ性質に戻ろうとしてしまうので、評価の実施前など定期的にアナウンスすることで、評価を正しく、正確にすることが可能である。

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【キーワード】評価の方法

評価をどのように行うか?

メンバーの業績をどのように評価するのが有効だろうか。

組織によっては、評価のタイミングを四半期に一度と頻繁に行うところもあれば、一年に一度だったり、評価があったのか無かったのかさえもよくわからない組織もある。

頻繁に評価を行う組織では、管理職や経営者の仕事の大半が評価のために費やされ、何のための評価制度かわからないといった不毛な例もある。

また、評価手法が設けられていたとしても、実際にそれがどの程度意味があるのか不明であったり、もはやコミュニケーションを取るためだけに評価面談を行って普段のコミュニケーションを怠ったり、評価の機会が形骸化しているケースも見られる。

評価制度全体の設計も重要ではあるが、ここでは一般的に用いられている具体的な方法を挙げる。

 

業績記述法

メンバーが自分の強みや業績、今後の意気込みや計画などを記述して上司が評価する方法。

最も簡単であり、トレーニングも不要だが、「作文能力」が優れている人ほどよい評価を受ける可能性があることには注意が必要である。

 

重要行動評価法

メンバーのこれまでの仕事ぶりで、特に印象付けられる行動について評価者が書き記す方法。

たとえば、業務効率化につながるアイデアを取り入れたところ、これまでのやり方が改善されて、作業時間を減らすことに成功した、などが当てはまる。

メンバーの行動が、効果的であったかそうでなかったかを考えるのであって、メンバーの性格や特徴を書くのではない。具体的な行動に焦点を当てるやり方である。

重要と考えられる行動をリスト化することで、上司がメンバーに何を求めているかが明文化され、メンバーはどのように行動を改善したらよいか、望ましい行動が何かを理解できる。

 

評点法

いわゆる、通信簿(成績表)の仕事版である。

出欠、遅刻、勤務態度、主体性や行動力などの特性、会社への忠誠度、チームワークなど、評価項目のリストについてメンバーの点数をつけ、その評価点を合計する。

主に五段階評価が用いられ、1(全くできていない)から5(非常によくできている)の点数を評価者がつける。

基準が明確であり、定量的にデータが蓄積されるため、比較の材料にもなる。また、記述量が減るため効率的に行えるというメリットがある。

一方で、評価者の状況(時間のゆとりや好き嫌い)が色濃く反映される可能性もあり、評点の根拠を明確にしなければ、メンバーのモチベーションが下がる結果を招くかもしれない。

 

行動評点法

上記の重要行動評価法と評点法を組み合わせたやり方で、メンバーに与えられた職務についての望ましい行動例がリスト化されており、評価者は実際にどれに該当しているかを判断し、得点をつけていく。

行動評点法では、リスト化される行動例には次のポイントが必須となる。

  • 明確である
  • 観察ができる
  • 測定ができる

職務についての望ましい行動例や効果がないので望ましくないものについては、業務に実際に従事しているメンバーから挙げてもらい、複数から漏れ・偏りの無いようにリスト化する。

さらに、それら重複のないようにまとめた要素をカテゴリ分けして、難易度のレベルに応じて分類することで、体系的で、具体的な行動評価項目ができる。

 

日誌記録法

もし評価が一年に一度しかない場合、評価者は何を頼りにメンバーを評価するだろうか?

人間の記憶はいい加減であり、半年前のことよりも3ヵ月前のことを、3ヵ月前のことよりも1ヵ月前、1ヵ月前よりも昨日や今日のことをよりよく覚えているものである。

評価してもらう側も、日々の忙しさに追われて月日が経つと過去の栄光が薄らいでしまうし、記憶があやふやになってしまう。

より新しい記憶や出来事によって評価が決められるのではなく、期間中に業績を上げた人が適正に評価されるためにも、評価対象となる重要な行動を日々記録しておくことで、評価の精度を上げることができる。

評価者は、メンバーの特徴や性格というあいまいなものではなく、業績に結びつく行動に注目するため、ミスやバイアスを防ぐことができる。

もちろん、毎日記録することが求められるため手間はかかるが、日報の一部か、日報の代わりとして行えばデータは蓄積されるし、中身のない日報が少なくなる可能性は高い。

 

複数評価

フィギュア・スケートやシンクロナイズド・スイミングなどのスポーツでも採用されている、複数の評価者による評価手法である。

複数の者が評価を行うことで、評点が正規分布に従って平均的なデータが得られる。また、最高の評価と最低の評価を排除することでより正確な評価が期待できる。

 

選択的評価

メンバーが持つ専門性に応じて、その分野についてのみ判断する方法。

たとえば、技術力が高い従業員については、製造やメンテナンスの技術分野において「判断力」や「緊急事態への対応力」、「作業を効率的に進める力」、「作業環境を適切に保つ力」などの専門的な評価項目を基準にする。

逆に、営業職で評価されやすいような「説明がうまい」「はっきりと話せる」などの項目は除外するということになる。

この評価方法では、専門性が理解でき、なおかつ、日ごろから行動を見ている者でなければ評価できないため、直属の上司や同僚が評価者となることで正確なデータが得られる。

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【キーワード】業績評価者

誰が評価を行うか

業績評価の対象が定まった場合、誰が組織メンバーの評価を行うのが適切だろうか?

 

直属の上司

どのような組織に行っても、メンバーの評価を直属の上司が行うのは一般的である。上司は、部下の業績を管理し、責任を持つため当たり前だと考えるからかもしれない。

しかし、そもそも評価とは何で、どのように行うことが適切かをわきまえている上司は世の中に少ないように感じられる。部下が持つ特異の強みを把握し、部署や業績にどのように貢献しているか、明確にできない上司がいることも間違いない。

さらに、上司自身も今の仕事のやり方に評価システムがそぐわないと感じていたり、部署の人数によってはひとりで把握しきれない場合もあるなど、評価する側にも問題を抱えたまま伝統的なやり方で進んでいるのが現実だろう。

 

同 僚

一緒にはたらいている同僚(先輩や後輩を含む)は複数人いるため、上司ひとりの判断よりも平均的なデータが取れる点で優れている。

何より、上から見ているよりも、同じ現場で毎日接して、行動を共にしている方が貢献の度合いや強みなどを直接に感じやすい。つまり、情報がフィルタリングされずに伝わるのがメリットと考えられる。

一方で、同僚を評価することにためらいがあったり、相互に慣れ合う、または、敵視していたりすると、評価が偏ってしまう可能性はある。

 

自 分

自分自身が仕事を評価ができて、そのまま報酬に反映されるとしたらどうだろうか?

評価時に自己評価を入れる企業もあるが、それがどの程度実際の評価に反映されるか、上司との評価と一致するか、一致しない場合にどうするのかなど、実質の運用面によって自己評価は形骸化する恐れがある。

多くの場合、上司の評価と自己評価は一致しないようだ。なぜなら、仕事ができない人ほど過大に評価したり、自分こそが会社の役に立っていると思う人は自分の都合のよい評価をつけるからだ。一方で、淡々と仕事をこなし、組織に貢献している人ほど自己評価を控えめにしたり、目立たないため上司からの評価が低くなってしまうこともありえる。

評価プロセスの設計においては、自己評価を入れることも有効かもしれないが、よくよく考える必要がある。

 

部 下

管理職や部下を持つメンバーには、その部下から評価をさせることで客観的な評価が得られやすい。同僚と同じで、よく接するため正確かつ詳細であり、複数のデータが取れることがメリットで、好き嫌いによって偏らないかどうかは気にしなければならない。

また、部下の正直な評価が上司に伝わってしまい、報復されるなどのリスクがあると部下による評価は歪められてしまうため、無記名にするなど制度設計に注意が必要となる。ただ、部下が少ない場合は「あいつが書いたな・・・」とわかってしまう場合もあるだろう。

しかし、自分のマネジメントについて下からのフィードバックを受ける機会の少ないポジションにある人にとっては、部下からの評価は自己改善やマネジメントスタイル確立のために有効と考えられる。

「良薬は口に苦し」を受け入れるだけの器を持たなければ、無能のままそこで終わってしまうだろう。もちろん、好意的な評価を受けることで自信がついたり、前向きになれる効果もある。

 

360度評価(360度サーベイ)

360度評価は、評価されるメンバーと接する機会を持つすべての人から評価を受けるものである。

これまでに挙げた上司、部下、同僚だけでなく、部外で連携するメンバーや社外の取引先担当者などからもフィードバックを受け、それを評価に取り入れる。

多くの人を巻き込むため、手続きに時間がかかったり、システムへの投資が必要になる場合もある。

しかし、より多くの人が評価に加わるため、より客観的なデータが集められ、評価プロセスに全員が参加することで公平性や一体感が高まり、正確な情報が得られるというメリットもある。様々な人から評価を受けるため、評価を受ける本人も納得感が高まりやすい。

キャリブレーション(相互調整)

それでもやはり上司による評価にこだわりたいという組織には、プロセスに「キャリブレーション」と呼ばれる手法を取り入れるとよい。

キャリブレーションは、本来測り器に物をに乗せる前に数字をゼロに合わせるなどの意味に使われる。

これを業績評価の場面に用いて、評価の基準や方法を前提として揃えておき、さらに評価後も相互に調整することで、組織全体でバランスを取るものである。

ある上司がひとりの部下をえこひいきしたり、極端に悪い評価をつけた場合には、同レベルの評価者会議によって全員のデータを比較し、全体で調整していく。したがって、ある側面では直属の上司だけでなく、同レベルの上司からの判断も入る可能性はある(「○○くん、もっとがんばってると思うんだけど…なんでこんなに低いの?」)。

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