人が2人以上集まれば、そこには必ず力関係(パワーバランス)が生じる。
組織ではそのパワーバランスのもとに、自己の目標を達成したり、組織の共通課題を解決したりすることが行われる。ここでいう力とは、地位等から生まれる公式的な権力だけではなく、地位に頼らない人間関係下ではたらく非公式な力をも含んでいる。
力を行使する人は、それを当然のものと思っていたり、力を持っていることを自覚していなかったり、持っているのに隠したりする。また、多くの人が組織内で力を手に入れようと躍起になっていることもある。
あるいは、力が欲しいが、それを周りに知られるとまずいことになるため、その欲を出すまいとする人もいる。
いずれにせよその力が一体どこから、どのようにやってくるのか周りからは判然としない。力を持つ人だけが、その秘密を知っていることになる。力は、組織における究極のタブーである。
力とは
力とは、Aという人物が別のBという人物の行動に影響を与え、AがそうさせなければBがしなかったはずのことを、Bにさせる能力を言う。
力には、次の3つの特徴がある。
①力は、表面にあらわれる能力でもあり、潜在的に発揮される能力でもある
影響の与え方は、明らかなものとは限らない。無言の圧力をかけたり、遠回しのメッセージを発したりすることもある。
したがって、力を持っていても行使しないこともあるし、付与された力を行使する能力がない場合もある。
②力は依存と相関関係にある
また、影響を受けるBはAに何らかの形で依存していることが前提となる。
そうでなければ、Aの影響を受ける必要はないからである。他者への依存度が高くなるほど、影響を受ける。
たとえば、AがBの望む何かを支配しているときには高い依存関係が生じる。
行使される側に選択の裁量権がある
さらに、Bには意思決定権があることも重要である。Bは、Aがさせようとしていることをしないという選択もできる。しかし、BはAが望む行動に移る。このとき、AがBに力を行使したと言える。
もしBの仕事上の行動が、職務記述書や組織ルール、規則、法律や基準などによって決められていて、Bに何の選択する余地もなければ、AはBに対して力を発揮することはできない。
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