【キーワード】生産的コンフリクトを生む方法

組織内で良い影響を与えるコンフリクト、すなわち、生産的コンフリクトを生み出すためにはどうしたらよいだろうか。

大企業や創業オーナーが絶対的な力を持つ中小企業では、異なる意見や対立意見をひとつ述べるだけで自らの地位が危うくなるリスクが潜んでいる。

いわゆる「イエスマン」が出世し、トップに上り詰めるまでに無能になっていく様は今日珍しいことではない。誰もが我が身かわいさに保身に入ったり、失うものが大きすぎることに恐怖を覚えて地位の保全に走ることは容易に理解できる。

しかし、状況がまたたく間に変化し、次々と新しい情報やテクノロジーが生み出され、競争や生き残りの闘いが激しくなる時代においてコンフリクトがない状態はきわめてまずいと考えられる。

なぜなら、生産的コンフリクトは組織を前進させるための必要な一機能であり、変化に対応していくための仕組みとしても組織に働きかけるからである。トップやマネジメント層が組織内外に起きるすべてのことを把握できるわけがなく、良い情報であれ悪い情報であれ、重要な情報として選別されて適切に伝達されなければ、組織が今取るべき方向性を見誤る可能性が高い。

したがって、選別を行って伝達されるプロセスの質が高くなければならないが、異なる意見や対立意見を受け入れて既存体制を変え、新しいアイデアを生み出していくためには、それが可能となる環境や文化が、すべてのメンバーにとって必要となる。

時には、トップも聴きたくないことを耳にして冷静に対応することが求められるし、意見を述べたメンバーをまちがっても排除するようなことはしてはならない。それやれば、二度と誰も意見を言うことはなくなってしまう。

 

生産的コンフリクトを生み出す仕組み

それでは、実際にどのような取り組みが企業で行われているかを見てみたい。

・あえて対立を生み、創造的なアイデアを生むためにまとまりのない会議体を推奨する(ブレーンストーミング、ワールドカフェ等の利用)

・上司や上層部に提出した意見やアイデアを却下されても、自らが信じるアイデアや意見を主張し続けるメンバーを評価し、報奨を与える

・360度評価などの公式システム(部下も上司を評価、批判する)

・上司と部下で意見が対立する状況が続く場合には、第三者が介入して助言する仕組み

・意思決定プロセスの中にあえて「反対意見」を述べるステップを組み込む

・大規模な投資や事業参入・撤退案件については、課題に対するチームを組んで賛否両論の意見を提出させる

 

生産的コンフリクトを奨励する組織の共通点

生産的コンフリクトを促すことに成功している組織は、反対意見を述べる者を評価・報奨し、コンフリクトを避けようとする者の評価を下げる仕組みが整っていることである。

また、聴きたくない情報や意見は誰でも同じであるが、トップや上司がそれを拒めば誰も意見さえ言わなくなってしまうため、管理職に対する教育や訓練も必要となる。

「絶対に怒ったりしないから言ってほしい」

「詳しいことが聴きたい、教えてくれ」

「大切なことを報告してくれてありがとう」

などと言った、細かいコミュニケーションをできるマネジメントの質と雰囲気が、メンバーの意見を出しやすくすることにつながる可能性がある。

本説明文は(株)若水の作成によるものです。
転載・転用・問合せをご希望の方は下記フォームよりご一報ください。
また、本説明文は弊社の解釈にもとづき執筆されています。
雑誌記事や論文等による学術性を保証するものではありません。

お問い合わせはこちらからお願いします。