【キーワード】倫理的な文化

倫理的な組織文化の構築

企業の不祥事や法令違反が絶えない。

ワンマン創業者による自爆的行為ならまだしも、業界のリーディングカンパニーである上場企業でさえもが、自制を失って不正に手を染めるケースが目立っている。

組織が不正行為を予防し、万一社内で不祥事が生じた場合にも誠実かつ透明な対応をしていくには、倫理的な組織文化を構築する以外はない。

組織は、どのように道徳や良識に反しない行いを奨励し、倫理的な組織文化を構築できるだろうか。

 

経営が取るべき5つの対策

文化の内容そのものや、どれくらいのメンバーが広く共有しているかという強さは、組織の倫理環境やメンバーの倫理的な行動に影響を与える。

倫理基準の高い組織文化は、リスクに対する寛容さの度合いが高く、攻撃性や積極さは低~中程度に抑えられ、結果よりも手段を重視する文化が多い。

このような文化の下では、リスクを取ることや革新的であることが奨励され、過度の競争には関与しないことが望まれる。また、そのような組織では、達成すべき目標だけでなく、その目標を達成する手段にも注意を払う。

弱い文化に比べると、強い文化が組織メンバーに与える影響は大きく、高い倫理基準を守っている組織は、メンバーの行動に対して非常に強い前向きな影響を与える。

そのようなより高い倫理基準を持つ文化の構築のポイントは、次の5つとされる。

1. 自ら模範を示す

組織メンバーは、トップや経営陣の行動を適切な行動の基準とする。

トップや、トップに近い管理職が高い倫理基準に基づいて行動しているとみなされた場合、すべてのメンバーに対して良い影響がもたらされる。

2. 倫理基準を周知させる

組織内で倫理規定を設け、徹底していくことにより、倫理的にあいまいな行動を最小限に抑えられる。

倫理規定には、メンバーが従うべき組織の重要な価値観や倫理規則を明記する必要がある。

3. 倫理研修を実施する

セミナー、ワークショップ、その他の倫理研修プログラムを実施する。

こうした研修を通して、組織の行動基準の強化、認められる行動と認められない行動の明確化、倫理的ジレンマに直面した場合の対処をはかる。

4. 倫理的行為に報酬を与え、非倫理的行為を罰する

経営陣や管理職の業績評価には、彼ら・彼女らがくだしたひとつひとつの意思決定を組織の倫理規定と照らし合わせて評価する方法を取り入れる必要がある。

評価の対象は正かそのものだけでなく、成果を手に入れるためにどのような手段を利用したかについても考慮しなければならない。

倫理的な行動をとったメンバーには目に見える形で報酬を与え、一方、倫理に反する行為に対しては明確な罰を与えることが重要となる。

5. 予防措置の仕組みを構築する

組織は、従業員が倫理的ジレンマに対する話し合いを行ったり、処分を恐れることなく非倫理的な行動お報告したりすることを可能とする公式の体制を整える必要がある(倫理カウンセラー、オンブズマン、倫理担当役員の設置、内部告発者・内部通報者保護制度の導入など)。

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