キャリアデザイン
キャリアデザインは、自分自身のキャリアを成功に導くために、公私を含んだ目標を描き、そのプロセスを具体化することである。
キャリアの成功とは、自己イメージ(アイデンティティ)と照らし合わせた基準で考える。
それは、仕事に「うまく当てはまっている」状態で、かつ、自分自身で納得できていることである。「他人より多い収入」とか「同期よりも早い出世」とか「名誉ある地位」とか「あふれるほどの資格」とかではない。仕事を通じて生きがいや充実感を得ることであり、さらには私生活でも自らが描いたイメージを反映することも求められる。
ただし、キャリアが成功したという実感は、キャリアの初期に感じることはまずない。むしろ晩年になって自分の職業人生を振り返った時に実感することの方が多いと思う。それだけわかりにくいものだが、早く実感できないと焦ってしまう。
もちろん、その過程ではジレンマに陥ることもある。実際に働いたり、年齢を重ねる中で現実を知り、どちらかを取ればどちからを捨てざるをえないトレードオフの関係を痛感することもあるだろう。しかし、キャリアデザインはそのような制約をいったんは外して考えてみることが重要で、キャリアの成功を実現するために、どのような仕事や行動が必要か、それをはっきりさせることが目的のひとつでもある。
キャリアを成功させる方法は、年齢・キャリア段階に応じて、適切に行動し、能力を高めていくことが必要で、節目に沿って、過去のキャリアデザインを振り返り、追加・修正を行うことが大切である。
キャリアパス
その職場に用意されている職位や仕事の将来的な一連の道筋のこと。
キャリアパスを全く描けないと将来に望みをなくしてしまい離転職につながる場合もあるが、先が明らかに見えてしまいモチベーションが維持できなくなることもある。キャリア開発の一環として、キャリアパスの構築を支援、あるいは促すことが企業でも行われている。
キャリアプラトー
組織内ではそれ以上の昇進が難しい位置にたどり着くこと。キャリアパスの最終地点とも言える。
個人の選択は
①そのまま維持する
②組織内外へのキャリアチェンジを図る
③別のキャリアを歩む
となる。
キャリアチェンジ
組織内での職種変更(開発→営業など)または組織外への同・異職種への転職。
自らの意思で行ったものとそうでないものも含む。
キャリア転換
キャリアチェンジよりも広い概念で、次の4つを指す。
①人生の役割の変化
②人間関係の変化
③日常生活の変化
④自己概念の変化
たとえば、昇進・昇給、離転職、失業、異動・転勤、結婚、出産、子どもの自立や定年など、公私含めたキャリアに沿った節目となるイベントが、キャリア転換には含まれる。
役割葛藤
個人が果たすべき一連の役割の中で矛盾が起きること。
専門職でいつづけることを望む人が、管理職のキャリアに進んだ場合やそれを会社から望まれた場合などに起きうる。
社会化
個人が組織に適応する、または、適応させられることを意味する。組織の価値観を受け入れ、守るべきルールを内面化するプロセス。
一方で、個人が給与や地位、やりがいのある仕事を得るため積極的に組織人になろうと努力する過程でもある。
社会化にかかる時間は個人差がある。社会化が成功するとおおむねキャリア発達に示される道筋をたどり、失敗すると適応障害を引き起こしたり、ワーカホリックのような過剰適応を起こしたりする場合もある。
組織にとっては生産性の上下、離転職にかかわるもので、メンバーの社会化プロセスは非常に重要な意味を持つ。
ワーキングプア
生活保護以下の低賃金で働かざるを得ない人々。社会化を受ける機会が全くないため、キャリアを考えることが実質的に不可能である。組織内の問題だけでなく、貧困化や教育格差等、社会においても負の連鎖が起きる。
キャリア形成や社会化の概念は正規雇用の人たちだけのためにあるわけではなく、組織は非正規雇用の人たちの社会化も考える必要がある。あるいは、国や地方公共団体等の積極的な支援が必要とされる局面に日本の社会はすでに来ていると考えられる。
ジェンダー・ギャップ指数
世界経済フォーラム(http://www.weforum.jp)が毎年発表している、国別の男女間の格差の大きさを示す。女性の経済への参加、雇用の機会、政治的な権限、教育の機会、健康について指数化したもの。
2013年指数ランキングでは136国のうち、北欧を中心に欧州国の順位が高く、5年連続でアイスランドが1位。アジアではフィリピンが5位で、中国が69位、日本は105位、韓国が111位となっている。
ジェンダー不平等指数
国連開発計画が「人間開発報告書」で毎年公表するもの。保健分野、エンパワーメント(権限委譲)、労働市場の3つにおいて、国家の人間開発が男女の不平等によってどの程度妨げられているかを示すもの。
日本は148ヵ国中総合21位(上位ほど優れている)で、保健分野が非常に優れているものの、男女共同参画においてはまだまだ課題が残されている。
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