テーマの設定
場の構想とデザインを踏まえて打ち合わせを実施したところ、毎回の議論や対話をより促すために、組織にまつわるテーマを設定する必要があるだろうというアイデアが出ました。それと同時に、組織について体系的に学べるような内容であれば、なお良いという結論にいたりました。
つまり、理論的な知識や新しい情報を前提として押さえ、それを基にして自他の組織について話をし、考えを深めることでより実践的な気づきが得られるだろうという仮説を立てました。
毎回のテーマに沿った話を進めることで、やみくもに議論をするよりも効率的に進行できます。また、テーマがない場合はともするとただの愚痴や話しっぱなしで終わるため、振り返りや今後の具体的な行動には結びつきにくくなります。したがって、身近に感じられるテーマという柱を用意することで、「より有意義な学習効果を得る」ための設計を施したということになります。
テーマについては、組織に関する良書を選定し、その中身を使うことにしました。初回は概論から入り、個人(モチベーション、価値観)⇒集団(チーム、リーダーシップ)⇒組織(組織文化、組織の変革)の順番で理解を促す流れで、全12個のテーマ(最終回は振り返り)を設定しました。
テキストの作成とセミナーの頻度
各回のテーマに対して、選定した書籍の内容をまとめてエッセンスの記述やわかりやすい図表を入れたテキストを作成することにしました。専門用語は可能なかぎり避けながらも、個人や組織を理解するために必要なキーワードについては必ず紹介し、定義を明らかにして臨むことにしました。
手元に残る資料は将来的に参照できますし、それを見ながら進めることで前提が共有され、議論や対話の方向性が大きく外れないことを期待できます。したがって、パワーポイントのスライドはあえて使わないことにしました。
社会人の方々が参加することや場所のことを考慮して、実施は月に1回2時間程度、平日の夜に行うことにしました。参加者の確保は何をするにしても至上命題です。また、テーマは毎回変わるため参加者がいつでも新規で参加できるとはいえ、通年で参加することが学習効果をより高めることはわかっているので、初年度は口コミでのみ募集することにしました。
打ち合わせの当初、「本当に組織について話し合うというニーズが存在するのだろうか?」といった疑問も生じましたが、必要かどうかはとりあえず人に聞いてみることにしました。人数が集まらなければ別の日に延期するか、最悪は止めればいいことですし、3人くらいでもやればいいという覚悟でした。
採算性
テキスト代や飲食物、場所代などを考えるとどうしても有料にせざるを得ないことは明らかでした。
集客のことを考えると、「有料にすることはかえって参加障壁を高くするのでは?」という考えも当然ありましたが、あえて有料にすることで、そういったことに理解を示してくれる人であり、かつ、それでも組織について話をしたいという高い意識を持った人が参加してくれることが望めると気づきました。本当に学ぼうとする意欲の人たちが集まることで、セミナーの質を担保できるわけです。
とは言え、かつてない初の試みでもあることから、参加費は他のセミナーよりもなるべく低く押さえ、月1回の負担として大きくない程度にすることにしました。
セミナーの趣旨に理解を示してくださった協力者の方が場所を提供してくださったおかげで、後は初回の日程を決め、知り合いに声をかけてみるだけとなりました。
そして日程調整の後、開催は1ヵ月後となりました。話の中でたまたま出たアイデアから企画し、実現するまで約半年を要しました。
次の投稿では、第1回目の内容について概略をご紹介したいと思います。